株を持っているかどうかで、今までよりも大きく家計や人生が左右される時代になるという

 ウクライナ危機は長引き、10月はイスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突も起きた。世界の経済や金融市場に大きな影響を与える米国の景気や金利の先行きも見通しにくい状況が続いている。年前半は好調だった日本株だが、最近はパッとしない。今後はどうなるか。国内外の大手証券会社で調査部門を経験し、長年金融市場や産業動向を見てきた武者リサーチ代表の武者陵司さんに今後の見通しを聞いた。

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―― 日本株の見通しは。

 日経平均株価は現在、底値の水準にあるとみています。年末から来年に向けて大きな上昇の波が来るでしょう。4万円を超える場面もあると考えています。

―― なぜでしょうか。

 日本経済は主要国の中でも突出して好調が見込まれているからです。国際通貨基金(IMF)が10月10日に発表した「世界経済見通し」では、2023年の日本の成長率を前回の見通しに比べて0.6ポイント増の2%に引き上げました。世界全体の成長率の見通しを据え置く中で、日本と米国だけ上方修正した形です。

―― 日本経済はどうして好調だとみられているのでしょうか。

 円安と、米中の経済対立の影響が大きい。まず円安が進んだことで、企業はこれまで円高のもとでつくってきた海外の生産拠点を国内に移す動きを強めています。その結果、国内の設備投資は一段と増える見込みです。国内回帰が進めば雇用面でもプラスです。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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極めて割安な水準に放置