翻って、日本も金融政策の大きな変更は見通しにくい。日本銀行も政府も、デフレ脱却が最優先事項であることに変わりはありません。デフレ脱却の動きに水を差しかねない円高や株安を招くような大幅な政策変更には簡単に踏み込めないはずです。

 中国との経済対立が続く米国にとっても、日本経済が落ち込むのは望ましくありません。日本経済にプラスとなる円安は、米国の国益でもあるのです。

―― 日銀の政策修正を見込む声も出ています。

 もちろん、インフレが進行したり、通貨の信認を脅かしたりといった事態になれば、話は別です。しかし、日銀は物価上昇率2%という目標を実現できないまま政策を大きく転換することはないでしょう。そもそも日銀だって、わざわざ株価を腰折れさせるような政策を行う必要性もありません。

 来年以降、米国の金融引き締め姿勢が緩み、日銀も徐々に金融正常化に向かう過程で、日米の金利差は縮小に向かうことも想定されます。その結果、かりに円高が進んだとしても、1ドル=120~130円という大幅な円高にはならないと思います。円高に振れたとしても同135~140円程度でしょう。

―― 上昇が見込める中で、日本株はどんな業種や銘柄が狙い目でしょうか。

 ITやAIなど先端分野の恩恵を受けたり国内回帰の動きを強めたりしているハイテク関連をはじめ、インバウンド需要の追い風を受ける銘柄や、割安な国内資産を多く抱えている金融や不動産関連などが挙げられます。

次のページ 12年末から現在までに約3倍に