中国人観光客でごった返す羽田空港。円安でインバウンド需要もさらに膨らむという
中国人観光客でごった返す羽田空港。円安でインバウンド需要もさらに膨らむという

 米中の対立で両国のサプライチェーンを切り離す動きが進んでいることも、こうした動きに拍車をかけるでしょう。米国はかつて、半導体から家電や携帯電話まで世界市場を席捲した日本に対し、自国産業を守るため日本叩きを行いました。その手段の一つが円高誘導だったと考えられます。

 でもそのせいで日本の競争力は低下し、代わりに中国が台頭することになりました。そこで今は中国に矛先が向けられています。中国に依存した体制からの脱却が求められており、その過程で日本に及ぶ恩恵は大きいと考えています。

 こうした点がほかの国と異なり、日本が今年や来年にかけて成長する最大の理由です。

 また、円安で訪日外国人客(インバウンド)需要もさらに膨らむ。モノやサービスが、物価の高いところから低いところへ流れてゆくのは自然の動きです。日本の物価は主要国に比べて低い水準に抑えられてきました。割安なモノやサービスを求めて世界の需要が集まってくるでしょう。

 国内の上場企業の最終的なもうけを示す純利益は、23年3月期にすでに過去最高水準にありますが、こうした状況の中でさらに増える見通しです。

 もう一つ、忘れてはいけないのは日本株がこれまで極めて割安な水準に放置されていたことです。

―― 政府や東京証券取引所は「貯蓄から投資」の動きを後押しする姿勢を強めています。

 代表的なのが来年から始まる新しい少額投資非課税制度(NISA)です。新NISAは運用益が非課税になる投資の上限額が増え、投資に乗り出す大きなインセンティブになります。

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