※写真はイメージです(写真/Getty Images)

アンチエイジング効果が期待され、注目を浴びているサプリメントがあります。アメリカの食品医薬品局(FDA)で安全と認められた、ニコチンアミドモヌクレオチド(NMN)という成分です。2025年には世界市場が12億ドル規模に達すると予想されているそうです。近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師が、そのサプリについて最新の研究結果をもとに解説します。

【写真】10年で2、3歳しか老けない高齢者は何が違うの? 老年科学者がすすめる「健幸華齢(けんこうかれい)」とは

*  *  *

 アンチエイジングの世界で有望なサプリメントにニコチンアミドモヌクレオチド(NMN)があります。NMNは以前もこのコラムで取り上げましたが、ビタミンB3の派生体であり、生体内でのエネルギー代謝プロセスに不可欠な要素です。

近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師

 NMNは最近、抗加齢サプリメントとして注目を浴びています。アメリカの食品医薬品局(FDA)において安全と認められた成分であり、2025年には世界市場が12億ドル規模に達すると予想されている人気成分です。

動物実験で示されたアンチエイジング効果

 この人気の背景には、動物実験で示されたアンチエイジング効果があります。NMNは細胞内でNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)に変換され、これがさまざまな生命維持プロセスをサポートする役割を果たします。特に、NAD+はサーチュインと呼ばれる「長寿遺伝子」の活性化に重要であり、これによりエネルギー代謝、DNA修復、および抗酸化プロセスが強化されることが示唆されています。

 マウスを用いた実験では、12カ月にわたるNMNの投与が皮膚組織のNAD+レベルを向上させ、加齢に伴うコラーゲンの減少や弾性線維の損傷を抑制することが確認されました。また、試験管の中の研究ではありますが、皮膚にNMNを加えると、コラーゲン産生が促進され、コラーゲンを分解するマトリックスメタロプロテアーゼの発現が減少することが報告されています。

著者プロフィールを見る
大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

大塚篤司の記事一覧はこちら
次のページ
ヒトにおけるNMNの効果