「ゴジラ」 1954年(第1作)日本の本格SF特撮映画の嚆矢で、怪獣映画の原点。ゴジラの恐怖と共に男女の淡い感情も描いた(c)TOHO CO., LTD.
「ゴジラの逆襲」 1955年(第2作)初作のヒットを受け、製作された日本初の怪獣対決映画。大阪でアンギラスと死闘を繰り広げる(c)TOHO CO., LTD.
「三大怪獣 地球最大の決戦」 1964年(第5作)ゴジラはモスラ、ラドンと手を携え、地球を守る。映画「ローマの休日」のオマージュがほろ苦い(c)TOHO CO., LTD.
「ゴジラ対メガロ」 1973年(第13作)ロボットブームの中、ジェット・ジャガーが登場。荒唐無稽な設定も多く、カルト的な人気を持つ(c)TOHO CO., LTD.

郷愁誘う「モスラの歌」

 初作の大ヒットを受け、翌55年には2作目「ゴジラの逆襲」が公開された。サイボーグ少女・桂の姿が切ない75年の15作「メカゴジラの逆襲」まで続く「昭和シリーズ」の始まりだ。

 好敵手の怪獣が登場し、ゴジラと戦う対立構図が定着。次第に初作の一抹の哀愁を帯びた「恐怖の権化」の感覚は薄らぎ、宇宙人や妖精の世界も紛れ込んできて、怪獣プロレスの様相すら示すようになってゆく。お座敷小唄風のコミックソングにもなった。

 東京五輪が開催された64年には、4作目「モスラ対ゴジラ」、5作目「三大怪獣 地球最大の決戦」が相次いで上映された。4作目で、ザ・ピーナッツが演じた「小美人」という約30センチの双子の妖精が登場。巨大蛾怪獣モスラに呼びかけるため、インドネシア語とおぼしき言語で歌われる「モスラの歌」がゴジラシリーズを彩った。『ゴジラの時代』を書いた作家・八本正幸は「昭和のゴジラ映画について語るとき、たまらない郷愁に駆られるのは、ザ・ピーナッツの存在あるがゆえだと思う」と述懐する。

 5作目はモスラやラドン、さらにはゴジラの宿敵ともいえる宇宙超怪獣キングギドラといった東宝の特撮怪獣群が結集し、お祭りムードを盛り上げた。

 後にはロボット怪獣も参戦し、ゴジラは「善悪両方の役どころ」を見せた。67年の8作目「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」にはちびっこ怪獣ミニラも出てきて、ゴジラは子どもや一般大衆にさらに身近になり、愛されキャラ的存在に。時代は高度経済成長期。明るく前向きなムードも影響していたともいえる。

 原点回帰したのは84年の16作目「ゴジラ」だった。95年の22作目「ゴジラVSデストロイア」までの「平成シリーズ」のトップバッターだ。初作の当時に比べ、現実のビルは高層化。これに応じてゴジラのサイズは50メートルから80、100メートルへと巨大化していった。

 決して人間に同情しない。意思疎通の回路も遮断されている。徹底的に「人類にとっての脅威」ではある。それでも、ほかの怪獣と戦う中、ゴジラは反射的に、悪をもって悪を制するかのような「正義の味方」の要素も強めた。

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