そもそも、子どもへの性犯罪はなぜ起きるのか。
斉藤さんは、性欲の問題だけではなく(1)支配感情、(2)飼育欲、(3)純愛幻想──の三つの認知の歪(ゆが)みが背景にあると言う。
「まず、支配感情は、子どもを思い通りに支配したいという気持ちです。加害者はみな子どもを異口同音に『かわいい』と言います。しかし、彼らが言うかわいいは我々が感じるかわいいと違い、子どもを支配でき、自分の存在を絶対に脅かさない存在であるという保証が含まれ、それを前提に彼らはかわいいという表現を使います」
次の「飼育欲」は、子どもは何も知らないまっさらな存在で、いずれセックスを経験するのだから自分が先に教えてあげたいなどという認知の歪みだ。
「3番目の『純愛幻想』は、周りは誰も理解してくれないが、自分とこの子は純愛で結ばれているのだという歪んだとらえ方です」(斉藤さん)
認知の歪み社会に一因
こうした認知の歪みは、自らの犯行を自己正当化するもので、生まれつき備わった先天的なものではなく、後天的に社会の中で学習したものだという。
「日本社会には、児童ポルノなど子どもを性の対象として消費して良いというコンテンツがあふれています。こうした、社会の中で学習してきた価値観と相補的に連動したものだと考えています」(同)
(編集部・野村昌二)
※AERA 2023年10月30日号より抜粋