「宇宙探索編集部」の舞台は中国。廃刊寸前のUFO雑誌編集長を主人公に繰り広げられる笑いと感動のロードムービー。全国順次公開中(c)G!FILM STUDIO[BEIJING]Co.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
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「ネット世代」の台頭

「ジャ・ジャンクー監督やロウ・イエ監督は第6世代と言われますが、彼ら以降、中国では“第○世代”という言い方をしなくなりました。あえていうなら我々は“ネット世代”でしょうか。これまでは『この恩師を伝承した』ということが重要でした。もちろんそれも大事なことですが、私が目指すのはクリエイティブなイノベーションです。私は多くの監督の映画を観て勉強し、彼らから栄養を取り入れました。そこから新しい映画を作ることが私には大事なのです」

 中国で映画を撮るには必要な手順がある。

「映画館での上映許可を得るためには、まず国に企画書を出さなければいけません。通ってはじめて映画を制作することができる。この映画は審査員たちからも『楽しくて感動した』と言ってもらえたんです。さらにラッキーなことに『流転の地球』のグオ・ファン監督がプロデューサーとして資金集めなどすべてをサポートしてくれました」

 今回で来日は4回目。3回は中国人監督の映画撮影にカメラマンとして同行し、マンガ専門店にも足を運んだ。松本大洋のファンだというセンスも光る。ひょっとして実家はタワマンに住む中国富裕層?

「いえいえ、とんでもない!(笑)。私は山東省の曲阜(きょくふ)市の生まれです。孔子の生地で、実は私も孔子の末裔なんです。祖父は小学校の校長先生で父も公務員、母は商売をしている一般的な家庭で育ちました。日本でいうサラリーマン家庭だと思います。高校時代から映画に夢中になりましたが、親の要求は大学に入ることだけでした。あとはどうぞ自分で道を決めてくださいと。緩やかだったことを感謝しています」

 中国Z世代を体現する才能は着実に世界へと羽ばたいている。

(フリーランス記者・中村千晶)

AERA 2023年10月30日号

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