コロナ禍の大打撃を経て、水際対策が完全解除された2023年はインバウンドが急激に回復してきている。23年8月の訪日客数(日本政府観光局の推計値)は19年の同月比85.6%の215万人まで戻ってきた。
和食が世界に浸透したことや、アニメやマンガなど日本のコンテンツ人気も背景にあるだろうが、インバウンドの急回復の最大のプッシュ材料は超のつく「円安」だ。
世界の物価比較で用いられる「ビッグマック指数」は、マクドナルドのビッグマック価格(1個)をドル換算し、各国の貨幣価値を測るもの。英誌「エコノミスト」が毎年発表している。
2023年1月時点(1ドル=130円前後)で日本は3.15ドルだ。これに対し、最も高いのはスイスの7.26ドル、ユーロ圏では5.29ドル、米国は5.15ドル。アジア圏ではシンガポール4.47ドル、韓国3.97ドルである。
日本のビッグマックは23年1月時点で日本円では410円だ。これでも原材料の高騰で日本人にとってはかなり値上がりしているが、世界の国々から見れば「日本は安い!」ということになる。
インバウンドの急回復で、外国人に人気の高い京都ではホテルの予約が取りにくくなっているうえ、宿泊料金も上昇。都市部だけでなく地方でもコロナ後を狙ったホテル開業ラッシュが続いている。全国的に新規開業はラグジュアリー系の外資系超高級ホテルが多く、23年4月に東京駅前にオープンした「ブルガリ ホテル 東京」は1泊25万円から。メインターゲットは外国人で、一握りの日本人富裕層なら泊まれるかもしれないが、普通の日本人はお呼びじゃない。