長きにわたる日本経済の低迷で、物やサービスの内外価格差が拡大し、外国人にとっては「安いニッポン」。円安は日本の「貧しさ」をより際立たせた。経済成長がなければ、賃金は上がらない。外国人労働者は今後もやってくるのだろうか。小塚かおる氏の新著『安倍晋三 VS. 日刊ゲンダイ 「強権政治」との10年戦争』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集して解説する。(肩書は原則として当時のもの)
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安いニッポンに訪日客大挙
“やってる感重視”の安倍晋三政権は、毎年のように様々な目標数値を掲げた。しかし、金融緩和とバラマキ偏重、1年単位でくるくる変わる経済政策の看板掛け替えに終始したため、数値目標は未達成のオンパレードだ。
おもな目標と結果を少し挙げてみると……。
【名目GDP 2020年に600兆円】
→2019年558兆円、2020年537兆円
※算出方法を2016年に変更して「数値かさ上げ」をしても達成ならず。
【消費者物価指数 2015年春に上昇率2%】
→2018年0.9%が最大(消費税増税の影響を除く)
【出生率 2025年に希望出生率1.8】
→2020年の合計特殊出生率1.34、2022年は過去最低の1.26
【女性活躍 2020年に管理職の女性比率30%】
→2020年13.3%
※達成年限を「2030年までの可能な限り早期」へ先送り。
【訪日外国人観光客 2020年に4000万人】
→2019年3188万人(2020年はコロナ禍で411万人)
これほど未達成だと、民間企業の社長なら株主が黙っていない。