個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回はドラマの制作発表で会場を「ポカーン」とさせた挨拶の裏側について。
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先日、ドラマの制作発表がございまして。
先週の月曜日に放送が始まった連続ドラマ「トクメイ!警視庁特別会計係」。その制作発表。
主演の橋本環奈、沢村一樹さん、松本まりかさん、JP、前田拳太郎くん、徳重聡さんと共に登壇しました。
関西テレビの堀田アナウンサーの進行の元、まず冒頭は、登壇者1人1人の挨拶。
当たり前のことではありますが、こういう場合、作品のことや、自分の役柄の話を中心とした挨拶をしなければいけません。
そりゃそうです。だって、そのための場です。ドラマを1人でも多くの方々に観て頂けるよう、作品や自分の役柄のことをお話せねば、なんのために登壇しているか分かりません。「私、最近、老眼がひどいんですね」みたいなことを話してもドラマとは一切関係ありません。
橋本から始まる挨拶。さすが座長というような、作品の魅力、自分の役の見所などを滑らかに話します。次の一樹さんも、軽妙でいて、しっかりと作品の宣伝も兼ねた、さすがの挨拶。続く松本さん、JP、前田くん、徳重さん、皆、それぞれの色合いで、それぞれの役や作品の見所をしっかりとアピール。みんな、やっぱりさすがです。
で、最後、僕。なんにも話すこと考えてません。その場で思いついたことを話そうと思ってたんですが、それまでのみんなの素晴らしい挨拶に聞き惚れてたら、いつの間にか自分の番になってしまいました。
「……あのぉ、先日、尿漏れしまして」
ちょちょちょちょちょちょーい。何を言ってるんだ貴様。貴様というか俺。俺、何を言ってるんだ。制作発表の冒頭の挨拶で貴様は何を告白してるんだ。まだ「私、最近、老眼がひどいんですね」の方がいいよ。よくないよ。ダメだよ。老眼もダメだよ。尿漏れと比べたら老眼の方がまだマシかもしれないが、尿漏れも老眼もダメだよ。ドラマの話をしなさいよ。