タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。
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日本の男性の育休制度は世界一。でも取得率は17.13%。なぜでしょうか。あなたの職場に「子どもが生まれるから働き方を変えないと」「来年は育休を取るつもり」と語る男性はどのくらいいますか? 取得した男性が休んだ期間はどれくらいでしたか。男性部下の育休申請に「えっなんで今」と思った人もいるかもしれませんね。夫婦間でも、男性が長く仕事を休むことへの不安や抵抗から、女性がより重い両立の負担を担う結果になることがあるでしょう。
今年のノーベル経済学賞を受賞した米ハーバード大学のクラウディア・ゴールディン教授は、日本では男女格差の解消が重要だと指摘しました。いくら働く女性を増やしても、終身雇用されるような仕事についている女性は少なく、低賃金の不安定な雇用で短時間しか働けないのが現状です。加えて、共働きでも家事負担は圧倒的に女性に偏っており、その時間は男性の5.5倍にもなります。無償労働を含めると日本の女性こそが世界で最も「働きすぎ」とも言えます。世界一の男性育休制度がある国で、なぜ女性はこんなにきつい思いをしているのでしょうか。