マンガ/上大岡トメ
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 わたしの友人に人気脚本家の旺季しずかさんがいる。彼女は、今では人気脚本家だけれど、若い時には女優を目指していた。

 その頃の彼女は、貧乏のどん底だった。

 とにかく、一円でも安いものを探していた。

 だから、喫茶店に行っても、とにかく、メニューの中でいちばん安いものを探す毎日だった。

 そんなある日、彼女は、気づいた。

「わたし、何もワクワクしていない。ワクワクしていない自分に魅力があるはずがない……」

 それからは、無理してでも、何がワクワクするのか、「ワクワクにこだわる」ことを心がけた。喫茶店に行っても、

「何を頼めばワクワクするかなあ」と、ワクワクするものを注文するようにした。

 ワクワクを探し出すと、人生が楽しくなってきた。

 人生が楽しくなると、仕事が入りだしたらしい。

 また、わたしの友人のスタイリストの女性が言った。

「ワードローブは、ワクワクするものでないとダメ」

 この言葉、考えさせられた。

 わたし、ワクワクしながら、タンスを開けているだろうか?

 なんとなく荷物が溜まっている。

 これじゃ、ワクワクするはずもない。

 ちょっと、反省。

 何もかもワクワクするようにできたら理想だけれど、なかなか、その域まで達することはできない。

 でも、一日、ひとつ、ふたつは、ワクワクできるようにしておきたい。

 ワクワクしない人生なんて、やっぱり寂しい。

 何がワクワクするだろう。

 どうすれば、もっとワクワクできるだろう。

 いろいろ考えてみた。

 そして、自分で自分に気づいた。

「わたし、飛行機に乗るとワクワクする」

 つまり、遠いところに行くのが好きだった。

 いつもと違う場所に行くことが好きだった。

 そして、飛行機の飛び立つ瞬間が大好き。

「ひとっ飛び」で昔なら一生行けなかった場所に行けるのが、わたしにとっては、最高。

 だから、遠くから仕事の依頼が来ると、めちゃめちゃ嬉しい。

 お金じゃなく、行きたくなる。

 離島も好き、海外も好き。

 そんな自分に気づいた。

 もちろん、人によって、ワクワクするものは違う。

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