石垣島におけるゴルフリゾート開発予定地の地図。事業予定地にふくまれる、東京ドーム約27個分の森林(緑色のエリア)には少なくとも10羽のカンムリワシが暮らしているという。(環境NGO「自然の権利」基金のクラウドファンディング用Webページより)

石垣市と争うことにした理由

――今回の「石垣島カンムリワシ『自然の権利』訴訟」(以後、カンムリワシ訴訟)を起こした経緯を教えてください。

 石垣島では、市の協力のもと、約127ヘクタール(東京ドーム約27個分)の土地に10階建てホテルやゴルフ場などを建設する計画が進んでいます。問題は、この敷地内に、特別天然記念物であるカンムリワシが営巣している森が含まれていることです。

 森林エリア自体は保全される予定ですが、近辺にブルドーザーが入れば営巣地には適さなくなるでしょうし、森林周辺にあるヘビやカエルの住む農地が開発されることで、カンムリワシのエサ場は間違いなく破壊されます。

 そこで、リゾート開発を阻止するために私たちが注目したのが、この森が「石垣市民の森」という石垣市所有の公園であること。今回の開発区域内においては、森林法上、一定面積の森林を「残置森林」として保存しなければいけないのですが、石垣市が市有地である公園の一部を提供することで、この要件をクリアしようとしているのです。

 公園の無償提供について、市は「事業者に管理させる」というあいまいな表現でごまかしています。われわれとしては、一企業の独占的な利用を許すのは「貸す」という行為であり、行政財産を貸すことは地方自治法に違反するという主張で、争うつもりです。

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訴訟を却下させない“トリック”