ごく早期のがんを見つけるなら内視鏡検査が有効

 大腸がんは、早期発見の意義が非常に大きいがんです。なぜなら早期のステージⅠで治療できれば、5年生存率は99%近くで、ほぼ治るといえるからです(全国がんセンター協議会加盟施設の生存率共同調査)。さらに早期であれば、おなかを切らずに肛門から器具を挿入してがんを切除する内視鏡治療で治る可能性が高くなります。大腸がんを早期に発見するには、どうすればいいのでしょうか。

「便潜血検査(検便)で陽性の結果が出たり、自覚症状があったりした場合に消化器内科を受診し、治療すれば、大腸がんで命を落とす危険性は減ります。しかし内視鏡治療だけで治るような早期のがんを見つけるには、便潜血検査や自覚症状だけでは難しく、大腸内視鏡検査を受ける必要があります。50歳を超えたら一度は大腸内視鏡検査を受けてほしいと思います」と藤城医師。

 便潜血検査は、40歳以上の人は、年に1回受けることが推奨されています。自宅で便の一部を採取するだけの簡便な検査で、がんがどうかを見分けられます。

 また、大腸がんの自覚症状は、血便が出る、便が細くなるといった便の異常のほか、おなかが張ったり、腸が狭くなることで便秘や下痢になったりすることがあります。進行すると腸閉塞を起こすこともあります。

 一方、大腸内視鏡検査は内視鏡を肛門から挿入し、大腸全体を内側から観察する方法です。大腸がんは大腸の内側にある粘膜の表面から発生し、進行すると外側へと侵入していきます。大腸内視鏡検査は粘膜やその下の粘膜下層にとどまっているがんを見つけられるのがメリットです。

 しかし大腸内視鏡検査に対して、抵抗がある人も少なくありません。検査を受けたことがない人は「恥ずかしい」「痛そう」というイメージがあったり、過去に検査を受けたことがある人は「痛かったから二度とやりたくない」「前処置薬(下剤)を飲むのがつらかった」という経験があったりする人が多いようです。

 最近は「カプセル内視鏡」や「大腸3D-CT」など、内視鏡を肛門から挿入する必要がない検査方法も登場しています。カプセル内視鏡検査は、事前に下剤を飲む必要はありますが、カメラを内蔵したカプセルをのみ込むだけで腸内を観察できます。大腸3D-CT検査は、炭酸ガスを肛門から入れて、特殊なCT装置による撮影によって、3次元画像を作ることができます。下剤は必要ですが、通常の大腸内視鏡検査の半分量程度です。

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