―――もう1回見直したくなりました。
高橋:ぜひぜひ。もちろんそのメッセージを気づいてもらわなくてもいいんです。実際、テレビやWEBメディアってご飯食べながら、寝っ転がりながら見ている人も多いだろうし。単にぼーっと綺麗な映像だな、と見てもらえるだけでも嬉しくて、何かそこからぐっと深く見たい人だけが感じられる世界みたいな。ただし、そのメッセージも僕1人よがりでは駄目で、現場の空気を想像したり、何より前後の流れにうまく乗せることが大切です。例えば先ほどのひろゆきさんがザンジバル島に向かうところ。視聴者からしたら仲間から離れて一人で進むひろゆきさんの行動だけを見ると、「え?なんで?ひろゆきバカなの?」と思ったりもする訳ですが、おじさんが一人で泳いで行くシーンを挟むことによってそれも人生だよね、と感じる……う〜ん、正直難しいです。
―――取材したVTRはどれぐらいあったんですか?
高橋:全工程20日ぐらいでしたから、1日最低でも8時間回してるとすると、約160時間で、カメラが2台ぐらいあるんで、少なくとも320時間ぐらいありました。
―――それを全て観て読み解き、ストーリーを作っていく?
高橋:めちゃくちゃ大変です。ずっと座って作業していたんで数週間でホント太りました。もちろん僕以外にも編集してくれる人はいるんですが、全部素材は見て、一から繋ぎ直しているところはあるんで。苦しかったです(笑)。
―――そこまでこだわる理由は?
高橋:コロナ中はみんな旅に行きたくても行けなかったし、今やっと落ち着いてきたとしても物価も高いしすぐには旅に行けなかったりする訳じゃないですか。だからせっかくならまた再び旅に行きたくなるような番組にしたかったんですね。だから徹底的に旅を疑似体験できるものにしようと思いました。そのためには、旅した人が感想を書くよりも、旅の映像があって、それを視聴者がどう感じるか、徹底的に寄り添うのがいいのかな、と。その意味では旅には行っていない視聴者代表の僕が映像から感じるものを描くことによって視聴者の擬似体験を深めることができるかな、と思いました。
―――『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』はどんな人たちに見られている?
高橋:やはりABEMAの視聴者がもともと若いので、一番多いのはM1層といって、20歳から34歳までの男性ですが、比較的幅広い層に見られていると思います。
―――どんな人に見てもらいたい?
親子で見ています、という声も届いていて、それはすごく嬉しいですね。せっかく見てもらえるなら作り手としてはコンテンツからなんでもいいから何かを感じてもらって、もし可能であったらそれを誰かに伝えてもらいたいと思っているんです。親が子どもに伝えたいものってその究極的な形だと思っていて。生き様とか価値観といったものもありますよね。だから親子で番組を見て何かを感じてもらって、お子さんと話す材料にしてもらえたら最高に嬉しいです。
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