9月に天皇ご一家が訪れた「日本伝統工芸展」で、案内役を務めた秋篠宮家の次女・佳子さまを、天皇陛下が「佳子ちゃん」と呼んだことが、話題になった。昭和までの皇室には、父母を「おもうさま」「おたたさま」と呼ぶような独特の宮中言葉があったが、令和の天皇陛下は幼少時に、「パパ」「ママ」という言葉を先に覚えたともいわれている。天皇陛下や皇族方はふだん、お互いをどのように呼び合っているのだろうか。
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波のてっぺんに金粉と貝の粒、そして真珠が置かれている。白から青、紺色のグラデーションが波のように煌めく彫漆の工芸作品。
天皇ご一家と案内役の佳子さまは、この彫漆箱の前で足を止めた。総裁を務める佳子さまが「日本工芸会総裁賞」を贈った作品だ。
「この作品は、佳子さまが自ら総裁賞にお選びになったのですよ」
蒔絵(まきえ)の人間国宝で日本工芸会副理事長の室瀬和美さんが、そう説明した。彫漆箱を見ていた天皇陛下は、
「佳子ちゃん、どうでしたか?」
と、穏やかにたずねた。皇后雅子さまも、声をかける。
「どのような感想を?」
佳子さまも公務中だが、声のトーンは明るい。
「色の移り変わりがグラデーションとなり、とてもきれいでした」
両陛下の隣で、長女・愛子さまもほほ笑んでいた。
室瀬さんによれば、「日本伝統工芸展」では10回の節目ごとに、天皇、皇后両陛下が訪問してきた。70回目の開催となった今年は、両陛下に加え愛子さまも「ご一緒したい」と希望したのだという。
愛子さまは会場でも、
「工芸の作品が好きです。こういう展覧会を見るのが私、大好きなんです」
そう話し、顔を輝かせていたという。