汚水があふれ出たマンホールのふた=2022年5月25日、茨城県常陸太田市
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 小学校でプールの水を出しっぱなしにした問題で、川崎市は教諭と校長に損失の50%にあたる計95万円を請求した。公務員のミスによって生じた損害を、本人や管理職が弁済するというニュースは大きな話題になったが、公務員が身を切る事例はこれだけではない。AERA 2023年10月9日号より。

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 茨城県常陸太田市では22年、職員のミスによって生じた損害の一部を穴埋めするため、全職員を減給するという驚きの条例案が可決された。

 18~21年度に住宅団地で下水道工事をした際、担当職員が人口を実際よりも大幅に少なく見積もったことで汚水量がポンプの処理能力を超え、汚水がマンホールからあふれ出るなどした。別の地域でもミスが見つかり、ポンプの増設や下水管の再整備などで約4億円の損失が生じたものだ。

 市は「費用の全額を税金による市民負担だけで充てることは市民の理解が得られない」(市議会での市長答弁から)として全市職員を減給する条例案を提出、去年12月に可決された。今年1月から来年3月までの1年3カ月にわたり、月給と期末・勤勉手当を市長ら特別職は5%、一般職員は1~2%減額するという。

 弁護士で行政法研究者でもある平裕介さんは指摘する。

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