ミラーレスライカ用ズームレンズ2本
昨年のフォトキナで発表された、ライカT用の2本のズームレンズが発売される。
スーパー・バリオ・エルマーTは35mm判換算で17〜35mm相当の画角になる超広角ズームレンズ。このクラスとしてはまずまずの大きさで、ライカR用レンズに似たデザインで鏡胴はやや太めだ。
明るさはやや抑えられているが、そのぶん描写性能には余裕があり、開放からの完全な実用性能がある。子細にみても周辺域までの均質な画質がよく周辺光量低下も目立たないほうだ。ボケ味を語るレンズではないが、テレ端側の至近距離撮影ではクセもなく自然な雰囲気がある。ただ、この焦点域ならば簡易的なものでいいからMF時に役立つように距離と被写界深度指標が欲しかったところ。花形のフードはバヨネットタイプで逆カブセも可能。ライカTとのバランスは悪くない。
スーパー・バリオ・エルマーT f3.5-4.5/11-23mm ASPH.
●焦点距離・F値:11~23mmF3.5~4.5●レンズ構成:11群14枚(非球面レンズ4枚)●最短撮影距離:0.2m●最大撮影倍率:11mm時で約230×153mm、23mm時で約127×85mmの範囲を撮影可●画角:103°~65°●フィルター径:Φ67mm●大きさ・重さ:約Φ73×77mm・約386g●価格:税込み24万3000円(実売も同じ)
アポ・バリオ・エルマーTは35mm判換算で80〜200mm相当をカバーする望遠ズームレンズ。APS-C用のこのクラスのレンズとしてはやや大きめだろうか。しかし、これも描写力優先のライカらしいレンズといえる。開放から完全なる性能を感じさせる。大口径ではないがボケは素直で美しい。合焦点はひたすらシャープな印象でコントラストが高い。ライカTの特性もあるのだろうが、今回の描写はやや渋みを感じる。手持ち撮影でも大きな問題はないがテレ端側ではライブビューによるフレーミングはつらい。こうした長焦点レンズの登場に合わせて、電子ビューファインダーを内蔵したライカTの後継機が出てくるのではないかと予想しているのだが、どうだろうか。
アポ・バリオ・エルマーT f3.5-4.5/55-135mm ASPH.
●焦点距離・F値:55~135mmF3.5~4.5●レンズ構成:10群12枚(非球面レンズ1枚)●最短撮影距離:1m●最大撮影倍率:55mm時で約403×268mm、135mm時で約188×125mmの範囲を撮影可●画角:28°~12°●フィルター径:Φ60mm●大きさ・重さ:約Φ68×110mm・約500g●価格:税込み24万3000円(実売も同じ)
◆赤城耕一