こうした仕入れ代や経費に含まれている消費税分を差し引く仕組みを「仕入れ税額控除」と呼びます。具体的には、次の計算式にもとづいて決まります。
消費税の年間納税額=年間の売上高×税率10%-年間の仕入高や経費など×10%
つまり、消費税は売ったモノ一つ一つに対してかかるのではなく、事業者単位、年間単位でまとめて課税される仕組みです。ですから、米国の小売売上税のように、消費者が払った税金がそのまま税務署に納められるわけではありません。
その意味で実質的に間接税ではなく、法人税のような直接税と言っていい仕組みなのです。
多くの事業者は売上高や仕入れ代、経費を把握し、帳簿で管理しています。なので、納税すべき消費税の額も、法人税と同じように帳簿上で把握し、自身の裁量で計算します。取引相手ごとに、いちいち税率と税額を明記する必要のあるインボイスなんて本来、いらない仕組みなのです。
――それでもなぜ導入するのでしょうか。
ここで大事なのは、前述した消費税の納税額の計算にあたって「年間の売上高」のうち、海外への輸出による売上高にかかる税率はゼロにする仕組みがあることです。つまり、前述した計算式の「年間の売上高」から、輸出売上高を差し引いて計算することになります。
輸出の多い事業者は、輸出売上高を含まない年間の売上高から仕入れ高や経費などを差し引くと、税額がマイナスになります。それが還付金として戻ってくるのです。