世界中のヴィンテージミニカーコレクターにファンの多いディンキー。特に初期のものは、「オールドディンキー」と呼ばれ、状態が良ければ高額になることも少なくありません。イギリス製とフランス製があり、出来栄えが微妙に違うのもコレクター心をくすぐる要素です。

 ウェールズゆかりの犬種「ウェルシュ・コーギー」からブランド名が付けられた「コーギー」は、老舗ディンキーに対抗すべく、クルマのみならず、航空機などのミニチュアも生産していました。中でも、テーマに沿ったミニカーと人間や動物などの小物がそろっていて、ジオラマのような雰囲気がある「ギフトセット」と呼ばれるシリーズが僕のお気に入りです。

「マッチボックス」は、その名の通り、マッチ箱を模したデザインパッケージで登場。1960年代には日本でもテレビCMを展開しました。販売方法など、トミカにも影響を与えたと言われています。

マッチボックス「LAND ROVER SAFARI」(写真提供/北原照久)

 そして1970(昭和45)年、大型サイズ(1/43)が中心だった時代に、子どもの手のひらサイズとして発売することになったのが「トミカ」です。こだわりの箱に納められ、外国製ミニカーに引けを取らない精密さと仕上げの良さで、発売開始時に6車種だったトミカは、4年後の1974(昭和49)年に100車種に達し、海外展開も始まります。1976(昭和51)年には、累計販売台数が1億台を突破する勢いとなりました。発売から50年以上続いているトミカは、令和になった現在も輝き続けているブランドです。

 3Dプリンターなどの技術の進化により、今では個人でも自分だけのミニカーを作成できるようになりました。時代とともに技術も進化し、ミニカーの楽しみ方の幅が広がってきています。

北原照久(きたはら・てるひさ)/1948年、東京都生まれ。ブリキのおもちゃ博物館館長。ブリキのおもちゃコレクターの第一人者として世界的に知られ、「開運! なんでも鑑定団」に鑑定士として出演中
次のページ 【動画】10号に収録の「トヨタ MR2」はこちら