コーギー「ギフトセット」シリーズ(写真提供/北原照久)
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 隔週刊「トミカ 歴代名車COLLECTION」は、タカラトミーが厳選した歴代名車60台を、その詳細を解説したマガジンとともにお届けするシリーズ。スポーツカーからはたらく車まで、毎号付いてくるトミカはオリジナルデザインで、これを集めると、唯一無二のトミカ・コレクションが完成する。

【動画】10号に収録の「トヨタ MR2」はこちら

 2週間に一度の発売日には、マガジン巻末に収録されるリレーコラム「My car, My mini car」をAERAdot.にも配信。「トヨタ MR2」を取り上げた10月3日発売の10号のコラムは、ブリキのおもちゃ博物館の北原照久館長による「トミカ以前の外国製ミニカー」だ。

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「ミニカー」とは「ミニチュアカー」という言葉を略したもので、基本的には「自動車模型」を意味します。自動車の普及とともに製造されるようになり、最初のミニカーとされるものは、1915年頃、アメリカのダウスト社が鉛合金を素材としたダイキャスト製法で生産した、フォードT型と言われています。

 また、同時期のヨーロッパでは、イギリスのブリテン社、フランスのソルジュエ社、ドイツのメルクリン社などの玩具メーカーが、鉛でできた「兵隊シリーズ」などの付属的な玩具として作ったミニカーがあり、金属製の車体と木製のホイールでできていました。

 これらのミニカーは、非常に簡単な作りの素朴なものでしたが、「最高の出来栄えの戦前モデル」と呼ばれ、現在でも高く評価されています。

 その後イギリスでは、1930年代にメカノ社がミニカーブランド「ディンキー」を立ち上げ、1950年代に入るとメットーイ社が「コーギー」、レズニー社が「マッチボックス」を設立。よりリアルなデザインを表現できる、ダイキャスト製法の車体が使用されるようになりました。箱のデザインも各社趣向を凝らし、イギリス車だけでなく、世界中の車種のミニカーを生産して、大きな市場を獲得していきました。

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手のひらサイズでブランドになった