契約は単年度ごとなので、いつ「雇い止め」になるかわからない。しかも、1校で契約を更新されなかったら、残り2校の収入だけではとても生活できない。いつも年度末になると、来年はどうなるか不安になる。
将来を描くことができますか──。そう問うと男性は言った。
「全く描くことができません」
はむねっとの瀬山さんは、現状を変えるには「賃金格差の是正と、雇用年限の廃止の二つの対策が必要」と説く。
「非正規公務員は不当に買い叩かれています。仕事を掛け持ちしなくていいように、正規と非正規との賃金格差をなくすこと。そして、単年度雇用を廃止し、安心して働ける職場環境を築くことが重要です。継続して質のいい公共サービスを提供するためには、働き手が安心して働ける環境が重要です」
『「副業」の研究』の著書もある東洋大学の川上淳之(あつし)教授(労働経済学)は言う。
「副業をすれば何とかなるという生活は、決して望ましい解決策ではありません。長期的に一つの仕事で安定した収入を得られるよう、生活面も含めた環境整備や社会福祉政策の実施が求められます」
(編集部・野村昌二)
※AERA 2023年10月2日号より抜粋