医師にも医学部にも全く縁のない、ごく普通のサラリーマン家庭。そんな環境から息子2人を国立大学医学部に進学させた岐阜県在住の國井孝洋さん。長男・慶人さんは2017年に福井大学医学部に現役で合格し、現在は朝日大学病院に研修医として勤務。次男・悠生さんは21年に、岐阜大学医学部に一浪で合格。現在は同大3年生だ。地元の中小企業に勤める國井さんとパート職員の妻は、家庭でどのような教育を行ってきたのか。好評発売中の週刊朝日ムック『医学部に入る2024』で、國井さん親子を取材した。前編に続き、後編をお届けする。
【図版】長男・慶人さんと次男・悠生さんの学歴、現在までの歩みはこちら
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公立、私立よりも、大事なのはレベルの高い環境
それぞれ自分なりの勉強方法を模索して、一途に取り組んできた慶人さんと悠生さんだが、自然と勉強に向き合えるようになった背景には、やはり、幼いころからの両親の環境づくりや支援があったと感じている。
たとえば彼らが小学生のころ、孝洋さんはよく、別の塾の公開テストの情報を得ては勧めてきた。
「公開テストを受けると、自分の得意不得意がわかるんです。また順位や点数を見ることでモチベーションにもつながる。自分から勉強をやろうと思える環境に自然にしてくれたんだなというのは、今になって思いますね」(慶人さん)
ところで兄弟の学歴を振り返ると、小学校から大学まで国公立に進んだ慶人さんに対し、悠生さんは高校までは私立だ。これには何か理由があるのだろうか。
「岐阜大附属小は合否が抽選で決まるんです。長男は当たったのですが、次男はこれに外れた。そのときに次男が自分の実力で落ちたわけではないのに、劣等感を感じているように見えたんです。6歳の子をこんな気持ちにさせてはいけないと思って、附属小と同じぐらいのレベルの私立に行かせることにしました」
公立だからこう、私立だからこうという差は、本人たちはさほど感じていないという。悠生さんの高校は、家庭が裕福だったり、医者の家系だったりという同級生も多かったが、だからどうということもなかった。