「金銭感覚が僕とは違うなという友達はいましたが、ああ、そういう人もいるんだなという感じでしかなかったですね」(悠生さん)

 それよりも、2人ともそれぞれ「切磋琢磨し合える高い学力を有する仲間が周りにいる環境」であったことがよかったと感じている。「医学部に行きたい」と素直に口にできて、それを特別視されたり、否定されたりすることなく、「一緒に頑張ろう」と言ってくれる友達がいたり、応援してくれたりする先生がいることが、ありがたかったのだ。

 母の恵美さんも「学校や塾の先生方、常に刺激を与えてくれた仲間達、そして何より情報を共有し支えてくださったお母様方に心から感謝している」と周りの支えのありがたみを痛感している。

「親は指導者ではなく最強の応援団であるべき」

「親は指導者ではなく最強の応援団であるべき」だと孝洋さんは言う。

「すべきことは、勉強の指導ではなく、本人の進みたい方向へのバックアップとして徹底的な情報収集をすることと、子どもの将来への選択肢を増やしてやること、あとは毎回しっかり褒めてやることで、親がちゃんといつも見てくれているんだと子どもたちに感じてもらえるようにすることですね。特に感受性が強い小中学生のころは、親が見てくれているということはとても重要だと認識しています」

写真・図版(2枚目)| サラリーマン家庭で医学部に息子2人進学 小中高と公立の兄、小中高と私立の弟 その共通項は?

 受験関連の情報は雑誌やネットのほか、ほかの父母たちとも頻繁に交換してキャッチした。また、志望校のオープンスクール、オープンキャンパス、学園祭に積極的に子どもたちを誘うなど、さりげない演出も極力やった。受ける可能性のある全国の国公立大学医学部付近の宿泊施設を、9月の時点で、数カ所予約もした。しかし、それ以上に大事にしてきたのが、家族の絆だ。

「うちはいつも家族4人一緒に行動すると決めてきました。旅行も買い物も全員で。1人だけ家に残るということは許しませんでした。テレビも家庭内に1台。リビングが一番落ち着けて何でも話せるところにしたかったんです」

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