AERA 2023年9月25日号

――ちなみに、お母さんから教わったいちばん大切なことは?

向井:「それはもう、愛だよ。愛と、挨拶とか、礼儀とか、かな?」

ファンと一緒に生きていく

――向井さんの愛情は、ファンにも惜しみなく向けられています。

向井:「あ、それはね、もちろん」

――本誌の連載で口にされた、「ファン、イコール、俺。俺、イコール、ファンのみんな」「一緒に生きていくんやから」という覚悟は、ファンのみなさんにとって心に刻みたい向井さんの思いであり、同時に、このうえなくうれしい言葉だったのではないでしょうか。

向井:「せやろ?(笑)。俺とファンのみんなは、ひとりの人間やって思ってる。軽い気持ちで書いた言葉やとしても、あなたがSNSに書いたら俺が書いたみたいになるからね、俺がブログに書いたことはあなたが言ってることだよ、ってことだからね」

――そこまでの覚悟が生まれたのはいつごろですか?

向井:「ファンのみんなに対しては、昔からそういう気持ちあるよね。でも、ブログ書き始めてからじゃないかな? 関西のときから。やっぱり、お互いに思いを共有する時間があったからね。あとは、ファンレター読んでると、いいこと書く子がいるのよ。そういうの、俺、めっちゃ覚えてるもん。くれた子の名前もね(笑)。手紙って、いいよね。いまも、届いてるよ」

祖母との思い出と願い

――今作で恋をするモードは、79歳という、向井さんにとっては祖母にあたる世代です。家族の話をよくしますが、そう言えば、おばあちゃんの話はあまり聞いたことがありません。

向井:「そうね。あんまり話してないかもね。おじいちゃんが先に亡くなってん。で、おばあちゃんがひとりやろ? 家、隣やねんけど、なかなか行かなかってん。おばあちゃんの煮物とか、めっちゃ好きやったし、おばあちゃん子ではあったけどね、でも、行ったらおこづかい、絶対くれるんよ。おばあちゃんにとっては、それが生きがいやから。けど、行くたびにくれるから、逆に行きづらくなって。だから俺、途中からそのお金をママに預けて、貯金しててん。そのお金はまだ取ってあるけどね。

 そのあと、亡くなってんけどな……ほんま、みんなに言いたいのは、もうちょい生きられるやろうと思ってても、急なんよ、ってこと。俺、おばあちゃんの入院してるとこにおって、お医者さんがあと1週間は大丈夫ですって言うから、夜中の2時ぐらいに車乗ったら、そのタイミングで亡くなっちゃった。おじいちゃんもそう。会えなかったん。もちろん、タイミングやからね、しょうがないです。けど、すごい後悔してるからね、ほんとに、会えるときに会わんとな、って、みんなに言いたい」

(編集部・伏見美雪)

AERA 2023年9月25日号より抜粋

暮らしとモノ班 for promotion
台風シーズン目前、水害・地震など天災に備えよう!仮設・簡易トイレのおすすめ14選