私が言いたいのはただひとつ。「最近、やけに爆笑問題が沁みる」ということです。歳を食って、それまで以上に演歌が心に響くなどとよく言いますが、何となくそれに似ている感じもするものの、それもちょっと違います。
 

 私が初めて爆笑問題をテレビで観たのは、おそらく18歳か19歳の頃、大学生になる前後ぐらいだったと記憶しています。ある程度の知能や自意識が確立されたタイミングで好きになるものというのは、音楽にしろお笑いにしろ文学にしろ映画にしろ、いわゆる「原風景的インパクト」や「青春の1ページ」とは違い、「強い共感性」の有無が大きく影響します。

 1975年(昭和50年)に生まれ、主に関東で育った私にとって「お笑い」と言えば、小学生の頃はドリフとひょうきん族、中学ではとんねるずでした。やがて、高校に入るタイミングでダウンタウン、ウッチャンナンチャンの番組がゴールデン帯で始まり、それらと共に「テレビの主軸はお笑い・バラエティ」という価値観がみるみると浸透していき、現在に至ります。
 

 そんな中、20歳前後で観た爆笑問題は、それまでテレビの前でゲラゲラ笑ってきた「お笑い」とは明らかに似て非なるものでした。世代的・地域的な観点からすれば、「クラシカルかつハイブリッドな存在」だったのでしょう。
 

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