今シーズン圧倒的な強さを見せた阪神とオリックス。両チームとも大きかったのが昨年まで実績のなかった若手選手がブレイクしたことだ。阪神では村上頌樹が先発の柱となり、野手ではルーキーの森下翔太が活躍。オリックスも山下舜平大が急成長を遂げ、5年目の頓宮裕真やルーキーの茶野篤政が打線を牽引した。彼らのように来季、一気にブレイクする可能性を秘めた若手はどんな選手がいるのだろうか。
まずセ・リーグの投手で楽しみなのが富田蓮(阪神)だ。今年はルーキーながら開幕一軍を勝ち取ると、プロ初登板となった4月1日のDeNA戦ではリリーフでいきなり初勝利を記録。6月には3回を投げて3失点(自責点2)で負け投手となったものの、一軍での初先発も経験した。二軍では14試合に登板して5勝2敗、防御率1点台と圧倒的な成績を残しており、先発ローテーションの柱になっている。
ストレートは140キロ台前半が多く、驚くようなスピードがあるわけではないが、数字以上に速く見え、コントロールも安定している。カーブ、スライダー、チェンジアップなど多彩な変化球を操り、あらゆるパターンで打ちとることができるのも持ち味だ。社会人から高校卒3年目でプロ入りしており、今年の大学4年生と同じ学年だと考えると完成度の高さが光る。伊藤将司、大竹耕太郎に次ぐ左の先発として期待できるだろう。
セ・リーグの野手では沢井廉(ヤクルト)と田村俊介(広島)の2人が面白い。沢井はドラフト3位でのプロ入りだったものの、上位候補にも挙げられていた左のスラッガー。二軍ではここまでイースタン・リーグでトップの18本塁打を放つ活躍を見せている。180cm、98kgという鍛えられた体格を生かした豪快なフルスイングで広角に長打を放つことができるのが持ち味。一軍ではまだ打率1割台と結果を残せていないが、徐々に対応してきた印象を受ける。少し気になるのが死球の多さで、怪我を防ぐためにも上手くよけることも覚えていきたいところだ。
一方の田村は愛工大名電から2021年のドラフト4位で入団。ルーキーイヤーの昨年は二軍でも打率1割台と苦しんだが、今年は大きく成績を伸ばすと9月からは一軍での出場機会を増やし、6試合連続ヒットもマークしている。9月17日の中日戦で投球を左手に受けて小指を骨折し、残念ながら今シーズン中の復帰は絶望的となったが、打撃センスは素晴らしいものがあるだけに来年はレギュラー争いに加わることを期待したい。