最近は育成ドラフト出身の活躍が目立つパ・リーグだが、来年ブレイクが期待できるのが福島蓮(日本ハム)だ。八戸西では21世紀枠でセンバツ高校野球に出場。上背はあるが明らかに体が細かったものの、長い手足を生かした腕の振りが光り、一昨年の育成ドラフト1位で日本ハムに入団した。1年目に体作りに取り組むと一気にスピードがアップ。今年は二軍で先発にも抜擢され、ここまで17試合(うち9試合が先発)に登板して4勝2敗、防御率2点台と見事な成績を残しているのだ。プロの投手としてはまだまだ体つきは頼りないが、190cmの長身で体ができてくればまだまだ伸びそうな雰囲気が漂っている。まずは支配下登録を勝ち取る必要があるが、現在のようなピッチングを続けていけば来年は一軍の戦力になる可能性も十分にありそうだ。
パ・リーグの野手も同じ育成ドラフト出身の長谷川信哉(西武)がブレイクの兆しを見せている。敦賀気比では大型外野手として注目を集め、2020年の育成ドラフト2位で入団。あらゆるポジションを守れる器用さを生かして1年目から二軍で多くの試合に出場し、昨年7月に支配下登録を勝ち取った。3年目の今シーズンは5月から8月の半ばまで外野の一角に定着。打率は2割台前半とレベルの高い投手を相手にはまだまだ苦しいところがあるが、一軍でも4本塁打を放つなど持ち味のパンチ力をアピールしている。運動能力の高さは誰もが認めるところだけに、攻守に確実性がアップしてくれば一気にリーグを代表する外野手となることも期待できるだろう。
冒頭で触れた選手を見ても分かるように、ブレイクする選手は一歩ずつ階段を上るというよりも、一気に成績を伸ばすケースが多い。それだけに今回紹介した以外からも、驚きの成長を見せる選手が出てくることを期待したい。(文・西尾典文)
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。