ご好評をいただいたインタビューも今回が最終回。桂さんが4年間ディレクターを務めている、あの人気番組に話題を絞って、思いのままに語ってもらった。豊富な画像と共に、お楽しみください!
――2011年5月、佐保明梨さんが入ってアプガは7人になります。そのあたりからドッキリ路線が定着して……
桂 「遊園地に行く」という台本を渡しておいて、いきなりバンジージャンプに行っちゃうとか。アイドルのバンジー企画は珍しくないですが、たいていの場合、アイドルのためらう姿とか、怖がる姿を追うでしょう。でもアプガは違うんですよ。予算のこともあるし、7人もいるから「一人5分以内に飛んでください」って(笑)。ためらう時間を与えないんです。
――撮影、楽しいだろうなあ。
桂 でも、作る側としては、長くやっているほど壁にぶちあたる。「他のアイドルにできないことをする」というコンセプトで3年半が過ぎた頃、やりつくしてしまったなと思ったんですよ。毎回ドッキリ企画だったので、耐性がつきすぎてしまったというか。たとえば「ゲテモノを食べましょう」というときにも僕らは最初からもうタガメとかヤモリとかシロアリの卵を持ってきた。そうなると、もうほかのアイドルはかないっこないですよ。最初からその勢いでやってきたので、決められた予算内でできるドッキリを考えるのに行き詰ってしまった。そこでマネージャーさんと話し合ったら、「逆にアイドルぽいことって今まで1回もしてなかったな」と気が付いて(笑)。メンバー本人の意見も入れて殺陣に挑戦したり、お菓子を作ってみようということになったんです。
――アイドル番組では当たり前の企画でも、アプガがそれに取り組むと新鮮味が生まれるんじゃないかと期待してしまいます。
桂 だから最近は一切ドッキリをやっていなかったんですが、今日ロケが終わったときに向こうから「もう何もないんですか?」みたいな振りが来たので、逆にやらないといけないなとも思って(笑)、次回から改めて(ドッキリを)仕込もうかなと思っていますよ。
――仙石さんはカメラが回っていない時でも、ああですか?
桂 そうですね。ずっと、ああです。彼女は「持ってる」ひとですよ。肝心なところでしっかりボケてくれる。それを狙ってやってるのならすごいと思いますし、天然で出せているとしてもすごいと思います。狙ってちゃ絶対にできないなとも思いますけど。あと仙石さんは、昔から「富士山」って言ってたんですよ。番組開始前、まだアップフロントガールズ(仮)だったころの打ち合わせで書いてもらったアンケートでも、「富士山にみんなでのぼって思いっきり叫ぶ!」と書いています。
――まさしく有言実行ですね。それが2011年の上旬です。その後3年以上を経て、アップアップガールズ(仮)は富士山山頂でライヴを敢行しました。仙石さんのアンケートから、ぼくは強い“言霊”を感じます。
桂 目標をちゃんと達成してしまったのがすごい。アプガは間違いなく、今のアイドル界で一番過酷なことをしてきたグループだと思います。
――一定のメンバーで着実に活動を続けてきて、メンバーもものすごく自信がついたのではないでしょうか。幼いころから歌やダンスを始めて、バックダンサーをすることで脇役の大切さも知り尽くした上で、今、主役としてステージに立っているのですから、ここに自信が加われば鬼に金棒ですよ。
桂 逞しくなったな、と思いますね。こういう言い方はあまりよくないかもしれないけど、一回(ハロー!プロジェクトを)やめさせられた子たちですよ。(仮)の文字の入ったTシャツ1枚でやらされて、ここまで来た。僕は番組をディレクトして、その成長を見届けることができているんですよね。ファンも(アプガの)変化を痛感していると思いますよ。
収録時の佐藤さんは1年目、2年目の頃はすごく引っ込み思案だったんです。初期の定期公演で《お願い魅惑のターゲット》を歌う時が本当にかっこよくて、そこですべての力を出す感じだったけど、ほかのときは繊細そのもので本当におとなしかった。でも今はおおらかになって、どんどん自分から発言するようになりました。
――いまや佐藤さんはアプガの煽り隊長ですからね……
桂 彼女に限らず、グループが始まったころは皆、お互いのことをあまり知らないのかな? という位ぎこちなかったですよ。でも佐保さんが加わって7人になってから、結束がどんどん強くなっていきました。
――番組「アップアップガールズ(仮)」では新年に恒例の書き初めをしていますが。
桂 毎年やっているので、4年分の書き初めがありますね。仙石さんは「日進月走」とか「一走懸命」とか「走思相愛」とか、必ず四字熟語の一文字をアレンジして書いていたんです。でも今年は「天下統一」。なんのひねりもない。「どうしたの」ってきいたら「めんどくさくなりました」って(笑)。急に路線を変更するという。
――奥が深すぎますね。佐保さんの書き初めも大迫力ですごいです。しかも書いている内容が深い。
桂 すごくいいフレーズを、サッとその場で書けるんです。自分に求められているハードルが高いことを認識しているんでしょうね。
――アプガの未来も番組の未来もさらに楽しみです。ひとりのディレクターとして、桂さんは今後どんなプログラムに取り組んでいきたいですか?
桂 予算をいっぱい使いたいですね(笑)。いつも、考え方がまず予算ありきになってしまって、効率性を重視するというか、そういうことを第一に考えなくてはならないので。だからパイ投げとかも今は泡でやりますけど……あとで片づけやすいように……ほんとなら本物のとんでもなく巨大なウェディング・ケーキをドーンと(アイドルに)ぶつけてみたい。あとは、数年前までアイドル専門のチャンネルをやっているのは僕らぐらいしかなかったんですが、今では各局、ふつうにアイドル番組をやっている。そのくらい時代は変わってきているし、その中でつくばテレビがどういうことをできるのか、それは命題ですね。お客さんに契約してもらい、お金を払って見てもらうのはとてもハードルの高いことですから。[次回6/22(月)更新予定]
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