役割を終えたガラケー(※イメージ写真)
役割を終えたガラケー(※イメージ写真)
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  4月24日、日本のメーカー各社が2017年以降にガラケーの生産を終了するというニュースが発表され、話題となった。

 電子情報技術産業協会の「移動電話国内出荷実績 暦年推移(1992年~2014年)」によると、スマートフォンを除く携帯電話端末の国内出荷台数は、2007年以降、急激に落ち込み、ピーク時にはおよそ5億台だったものが、2014年は約2億台と半分以下になっている。

 一部の中高年層には根強い人気だったが、市場から姿を消すことが決定したガラケー。そこで今回は、たくさんの「ガラケーあるある」の中から、電波に関するものを掘り起こしてみたい。

☆アンテナ伸ばしてたら曲がっちゃった

 かつてのガラケーは、アンテナを伸ばすことができた。電波状態が悪いとき、電波をキャッチしやすくしようと伸ばしてみた人、多いのではないだろうか。そして、そのままポケットに入れようとして、アンテナを曲げてしまった人も少なくないだろう。

☆電波が悪いとガラケーを振った

 技術は進化し、アンテナは本体内に内蔵されるようになった。そして、受信状況を示すアンテナが1本ついたりつかなかったりというとき、アンテナを伸ばす代わりにガラケーを振ったものだ。効果のほどはほとんどないという話だが、要するに気持ちの問題なのだろう。

☆「地下にいたんで」と言い訳できた

 あの時代、とにかく地下では電波状態が悪かった。それを“悪用”して、仕事をサボりたいときにガラケーの電源を切ってしまうのだ。その後、上司から「お前、何度も電話したんだぞ!」と言われたら、「いやー、地下で打ち合わせしていたんですよ」といった言い訳がまかりとおった。それぐらい、地下=電波が入らない、という共通認識があったのだ。

☆「電波、入ります」という飲食店の張り紙

 このような地下の電波状況だから、外で打ち合わせするとき、友人と待ち合わせするときなど、連絡が取れなくなってしまう地下の飲食店は敬遠されがちだった。だが、その後よく見かけたのが、「店内、携帯電波入ります」というはり紙だ。入店してみると、確かに電波状況がよかったので、驚いたことを覚えている。

☆機種を変更すると使い勝手が違った

 最後に、おまけあるあるをひとつ。インターフェースが携帯メーカーごとに異なり、機種を変更すると操作ボタンの配置が異なり、戸惑ったものだ。OSがiOSとAndroidにほぼ統一されているスマートフォンは、メーカーが異なっても基本操作は同じだから、こんな感覚はなくなってしまった。

 こうした「あるある」は、いわば消費者のニーズや深層心理が表面化したもの。ガラケーは、「あるある」であげられた課題を改善して独自の進化を遂げた。言い換えれば、「あるある」があったからこそ、技術の革新につながったともいえるのである。

(ライター・里田実彦)

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