ジャニーズ事務所の次に問題となるのは、テレビ局だ。

 多くの識者が指摘するとおり、テレビ局は完全な共犯者である。問題を知りながら目を瞑り、ジャニーズ事務所に忖度して一切問題の真相を明らかにしようとすることなく、裁判でジャニー喜多川が敗訴した時でさえ報道を抑え、多くのジャニーズタレントを使い続けた。

 そこで、テレビ局は、過去に遡って、報道のタイミングがあった時になぜそれをしなかったかの事実関係について詳細な検証を行うべきだ。その検証は、誰がいつどのようにして報道を抑えたのかを具体的に明らかにしなければならない。あるいは、不作為の責任も追及する必要がある。そして、それらに対する責任者の処分を行うことが必須である。

 さらに、責任の一端を担う形で、被害者賠償に対して資金提供すべきだ。

 今回の問題について、テレビ局は非常に軽く考えているようだが、それは、これが過去の話だと勝手に思い込んでいるからだろう。「過去のことは謝ります、将来については気をつけます」で済むと思っているのだ。

 しかし、残念ながら、これは過去の問題ではなく、現在の問題である。

 私があるテレビ局関係者に聞いたところ、ジャニーズの件は、記者会見など外部で動きがあればやむをえず報道するが、自分たちの問題を取り上げて検証するなどあり得ないという。誰かが命令する必要もなく、ずっと前から、ジャニーズ関係のスキャンダルの報道は御法度だった。それは今も同じで、トップの意向ははっきりしていると言い切った。

 この局は、会長の独裁体制で、ジャニーズ問題への対応が特に後ろ向きだということで知られているのだが、他の局でも、程度の差こそあれ同様の状況があるようだ。

 NHKが「クローズアップ現代」で検証報道を行ったと話題になったが、前述した本物の検証には程遠く、アリバイづくり以外の何物でもなかった。検証の結果誰に責任があるのかなど、全く明らかにされていない。これでは、将来同じことが起きても、また誰も責任を取らずに終わるだけ。この程度の検証では、将来への歯止めにもならない。

 ちなみに、日本のマスコミがこの問題を取り上げざるを得なくなったのは、被害者たちの実名告白もあるが、何よりも、今年3月に放送された英国BBCのドキュメンタリーが最大の要因だ。同じ報道機関でありながら、ここまで姿勢が違うのかと、一部の国民は驚愕した。

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テレビ局は逃げきれない