タレントが可哀想かどうかは、個別に判断すべきだ。東山氏などは、むしろ加害者側にいた可能性があるので、まずは東山氏の性加害を受けたという被害者の声を聞いて、それに白黒をつけるべきだろう。
そうした疑惑のないタレントについては、テレビ局などが他の事務所を紹介するか独立させるなどして、ジャニーズ事務所を介さずに出演する道を開けば良い。ジャニーズ事務所への忖度で出させてもらっていたタレントは、この機会に仕事を失うことになるかもしれないが、やむをえない。
むしろ、これまで、実力がありながらジャニーズ事務所のせいで出演できなかったタレントには新たに公正な機会が与えられるので望ましい。視聴者にとってもその方がプラスだ。
被害者救済について、ジャニーズ事務所は会見で、独立した第三者の委員会を設けて、時間的な制約なく、厳密な証拠も求めない柔軟な方針で進めるという趣旨の発言をした。
これは評価に値すると思ったのだが、13日に発表された被害者への補償策を見るとほとんど具体性がなく、本気度が疑われるものになってしまった。
「被害者救済委員会」が設置されるが、そのメンバーの独立性が担保されていない。本来は、日本弁護士連合会の推薦によるなど独立性の保証を明確にすべきだった。また、補償の基準も示していない。これではどんな救済になるのか全く不明のまま相談に来いと言っていることになる。あまりにも横柄な態度ではないか。
また、今後1年間は広告出演と番組出演などで発生する出演料は全てタレント本人に支払い、芸能プロダクションとしての報酬は受け取らないとしているが、それは、タレントが逃げ出さないように予防策をとっただけだと考えた方が良い。そもそも、1年だけという理由も不明だ。1年経てば批判も収まると考えているのだろうか。
今回の救済策では、ジャニー喜多川の性加害だけが対象となっている。東山氏など他のメンバーの疑惑については蓋をするという宣言でもある。
救済の原資も不明だ。ジャニーズ事務所の財産に限定するつもりかもしれないが、それは許されない。ジュリー氏の個人財産も拠出すべきだ。彼女の財産も元を正せば未成年者を犠牲にして得た利益である。それを守ることは正義に反することだと誰にもわかるだろう。