プロ野球開幕からもあっという間に1カ月! 5月下旬からはペナントレースの行方を左右するセ・パ交流戦がスタート。プロ野球ファンにとっては、楽しみな対戦も多いことでしょう。
そんな日本のプロ野球には12球団が所属していますが、カープ、スワローズ、ライオンズなど動物の名前がやたら多いですね。「なるほど、この動物は強いからね!」と納得のものもあれば、「なんでこの動物?」と不思議に思う名前もありますよね?
なぜプロ野球の多くの球団が動物の名前をつけたのか、その謎に迫ります。

広島の空に舞うジェット風船はまるで鯉のよう!?
広島の空に舞うジェット風船はまるで鯉のよう!?
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12球団中、8球団が動物の名前

球団名に動物が入っているのは、セ・リーグではスワローズ、ドラゴンズ(龍は架空の生き物ですが……)、カープ、タイガース。
パ・リーグでは、ゴールデンイーグルス、ライオンズ、バファローズ、ホークス。
12球団中、なんと8球団が動物の名前を使っているんです!
球団それぞれ球団名の決め方はバラバラですが、動物の名前を使う理由としては「親しみやすさ」が大きいようですね。では、一体どのように球団名が決められたのでしょうか?

前身の親会社・国鉄に由来~東京ヤクルトスワローズ~

ヤクルトスワローズの前身は、1950年に発足した国鉄スワローズでした。後のJRとなる国鉄は、1949年に戦後初の特急の運行をスタートさせたばかり。その特急の愛称が「つばめ」だったのです。当時、鉄道の中で最速を誇った「つばめ」。スピード野球を目指すチームのスタイルに一致するとのことから「スワローズ」が採用されました。
なぜか、当時の巷の噂では「〈コンドルズ〉というチーム名の候補があった」という話が出たそう。鉄道会社のチーム名が「混んどる」ではダメだから……なんて話があったとか、なかったとか。どうやら〈コンドルズ〉が候補にあったという話自体ガセネタのようですが……。

小柄でも機動力があるのが「ツバメ」の持ち味
小柄でも機動力があるのが「ツバメ」の持ち味

やっぱり定番は最強の動物!~埼玉西武ライオンズ&阪神タイガース~

ライオンズ」「タイガース」は少年野球などでもよく見かける定番のチーム名ですね。現在の埼玉西武ライオンズと阪神タイガースは、共に公募で球団名が決まったとのこと。動物界のピラミッドにおいても最高峰に君臨する獅子に虎、その強さにあやかろうというのはスポーツチームならではの発想でしょう。
事実、海外でも「ライオンズ」は中国、韓国、台湾に、「タイガース」はアメリカ、中国、韓国のプロ野球チームにも存在するのですから、世界中でポピュラーな名前と言えますね。もともと阪神タイガースという名前は、同じ工業地帯を本拠地とするメジャーリーグのデトロイトタイガースの存在が決め手となっています。ですが、そんな野球の本場アメリカには虎は棲息していません……。

デトロイトの本拠地にはど迫力のライオンが……
デトロイトの本拠地にはど迫力のライオンが……

未来への思いを込めて~広島東洋カープ~

そして、今季メジャーから帰ってきた黒田投手や「カープ女子」ブームで、かつてないほどの注目を集めている広島東洋カープ。一体、なぜに「鯉」? といった感じなのですが、それには深いワケがあるのです。
日本百名城の一つでもある広島のシンボル、広島城は別名を「鯉城」(りじょう)といいます。「鯉がお堀にいっぱいいたから」「黒い壁が鯉のような色だから」など呼ばれの由来は諸説あるようです。そんな広島城も1945年の原爆投下により倒壊。1949年、原爆投下による被害からの復興を目指して作られた球団にとって、広島を代表する「鯉城」は象徴的な存在だったのです。
一口に動物の名前がつく球団名といっても由来は様々。実際の動物の強さと球団の強さは比例しないものですが、「チームらしさ」はどことなくそれぞれの動物と近いものがあるのかもしれませんね。