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キックが接戦を制する
もうひとつのポイントはキックだ。フランスが舞台となる今回のW杯は、アウェイに近い雰囲気で戦うことになる。追いかける展開はメンタル的に難しくなるだけに、得点機を確実に生かしていく必要がある。
ペナルティキックで3点、トライ後のコンバージョンキックで2点をつかむことは、接戦を制することにもつながる。7点差以内なら、負けても勝ち点1を獲得できる。1本のキックの成否が、結果に影響してくるのだ。
前述のイタリア戦では、コンバージョンキックとペナルティキックが6本あった。しかし、2本の成功にとどまり、それが21対42の敗戦の一因となった。キッカーを務める李承信と松田力也の奮起が望まれる。
ラグビーのW杯は7週間強に及ぶ長期戦だ。大会序盤と終盤では、現地の気候が変わってくる。15年から22年までイングランド代表監督を務めたエディー・ジョーンズは、フランス国内での試合経験も豊富だ。
「プールステージから準々決勝までは、気候が暖かくてオープンな展開で、いいアタックができる環境です。それに対して準々決勝からは17時か21時開始です。空気が重くなり、ピッチはウェット。19年のW杯は大会を通してコンディションはほぼ同じでしたが、今回は変わっていく。環境に適応できるチームが勝ち上がっていくと思う」
イタリア戦後、松島幸太朗は「ここからは、負けたら終わりという覚悟でやっていかないと」と話した。チームが掲げる優勝を見据えつつ、30歳の経験者は目前の試合に集中していく。
「一試合でも落としたら、ベスト8には行けない。先を見ずに一戦一戦やっていきます」
過去9回のW杯は、ニュージーランド、南アフリカ、イングランド、オーストラリアが優勝を分け合ってきた。5カ国目の優勝国として、カップにその名を刻むことができるか。“桜の戦士”の野心溢れるチャレンジが始まった。(スポーツライター・戸塚啓)
※AERA 2023年9月18日号
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