「クラウドソーシング」について語る、経済産業省の石井芳明・新規事業調整官
「クラウドソーシング」について語る、経済産業省の石井芳明・新規事業調整官
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実際にクラウドソーシングで製作したという「日本ベンチャー大賞」「ベンチャー有識者会議」のパンフレット
実際にクラウドソーシングで製作したという「日本ベンチャー大賞」「ベンチャー有識者会議」のパンフレット

 インターネットの普及により、「ソーホー」「ノマドワーカー」など、さまざまな働き方が出てきている。そんななか、「クラウドソーシング」という言葉がなにかと話題だ。どのようなものかというと、「Crowd(群集)+Sourcing(業務委託)」を掛け合わせた言葉であり、「ネットで幅広く、企業などがさまざまな業務を委託する」というものだ。

 例えば、デザイナーやライター、プログラマーといった専門職に対して、これまで一般企業は直接取引することは少なかった。そもそも、誰に頼めばいいのかがわからないのだ。だが、クラウドソーシングを介せば、多くのデザイナーと取引が可能になる。仕事を請け負うデザイナー側にとっても、従来は広告代理店や印刷会社などを介さなければ、企業と接することはなく、直接取引をするチャンスはかなり限定されていた。だが、クラウドソーシングであれば、それが可能なのだ。

 その市場規模は、世界では2013年度で約2000億円と推計され、国内でも2014年度見込み値で408億円といわれている。さらに、数年後には世界で1兆円、日本でも1800億円規模になると予想されている。現在、クラウドソーシングで活発に受発注が行われているのは、デザインやライティング、プログラム、Webコーディングといったクリエイティブ系が多いが、今後はもっと広範な業務に広がる可能性が高い。守秘義務契約などが厳密に交わされればデータ入力、顧客データ管理と言った業務もクラウドソーシングに対応できる。

 なによりも、注目されるのは“働き方”の変化だ。これまでさまざまな事情で高いスキルを持ちながら、仕事を辞めていた人にもクラウドソーシングを介して仕事をするチャンスが増える。

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