空腹でスーパーに行くと、食材を買いすぎてしまいがち。行動経済学では、この行動を「投影バイアス」という心理によって、おなかがすいた状態が将来も続くかのように思い込んだ結果だと分析している。マーケティング&ブランディングコンサルタントで昭和女子大学現代ビジネス研究所・研究員の橋本之克の著書『ミクロ・マクロの前に 今さら聞けない行動経済学の超基本』(朝日新聞出版)から、この心理と対処法を抜粋して紹介する。
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人が将来の自分を予測するとき、ずっと今の状態が続くと思うものです。現在の自分を過大評価し、今の状態、感情や好みなどが、将来も変化せずに続くと思ってしまうのです。いわば現在の自分を、そのまま未来に「投影」してしまうような状態です。
こうした不合理な心理を「投影バイアス」と呼びます。バイアスとは、人間の思考や判断に特定の偏りをもたらす要因のことです。
人は将来の感情を予測できないので、現在の状況を大きく、長く続くように感じがちです。