AERA 2023年9月11日号

 役柄と自分の距離を縮めるために、「外見」を変えることも意識しています。内面について考えを巡らせるのは大前提ですが、人物の服装や髪形は皆それぞれ違うので、外見についても話し合って決めるようにしています。「春に散る」の翔吾で言えば「髭が必要だな」と思いましたし、髪形も「金髪だけれど黒も少し入った方がいいかな」などと考え、提案させてもらいました。自分で「格闘家 髪形」といったようにネットで検索し、また僕は肌が白いので、日焼けサロンに行き、黒くしたりもしました。内面については、自分はどちらかというと翔吾のように声を荒らげたりせず内にしまいがちだけれど、それを表に出せばいい、と思っていました。

――いま26歳。自身の未来をどのように思い描いているのだろう。

横浜:ジャンルも役柄もとらわれずに挑戦してみることで、“代わりのいない役者”になっていきたいと思います。いまはまだ若いですし、おそらく代わりはいると思うので、「代わりがいないよね」と思ってもらえるような役者になっていくために、学び、成長していきたい。

映画館で観てほしい

 俳優という仕事は、自分を成長させてくれるものであり、自分とは違う人間を生き、自分が感じられなかったこと、思ってもみなかったことを体験できるので、“考える幅”が広がったなと感じます。

 自分は芝居そのものが好きだと感じているので、これからもいい作品づくりをして一人でも多くの方に届けていきたい。あとは映画を映画館で観てもらえるように頑張らないと。「春に散る」のボクシングシーンは特にそうだと思うのですが、音響や雰囲気含め映画館で観るのとそうでないのではまったく違うと思うんです。

 一人の人が映画館で映画を観る回数は平均で年1、2回と言われていますよね。その1、2回になるために、自分は何ができるのか。映画館でいい映画をたくさん観れば絶対に心が豊かになると思うので、そのためにどうすれば良いのか、日々考え続けています。

(ライター・古谷ゆう子)

AERA 2023年9月11日号より抜粋

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