安倍元首相を暗殺し身柄を確保される山上徹也被告
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 安部元首相の暗殺事件から1年経たずして、社会学者・宮台真司氏の襲撃事件や、岸田首相襲撃事件が起こった。同様に社会から孤立した人が起こした秋葉原歩行者天国での事件のように無差別な殺傷から打って変わって、ターゲットが個人に特定化される事件が多発している。そこには、政治的テロリズムとは言い難い、覚悟のなさや未熟さがあった。政治学者・白井聡氏と哲学者・内田樹氏の新著『新しい戦前 この国の“いま”を読み解く』(朝日新書)では、二人がこの事件について対談形式で分析している。同著から一部を抜粋、再編集し、紹介する。

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安倍元首相銃撃と岸田首相襲撃事件

白井聡(以下、白井):2023年4月の統一地方選の最中、岸田首相の襲撃事件が起こりました。安倍元首相の暗殺事件から1年も経っていません。その間の22年11月には社会学者の宮台真司さんの襲撃事件もありましたよね。私はこうしたいわゆる政治と暴力の問題を非常にリアルに感じています。

 実は私にも22年秋に脅迫状が送られてきました。犯人は捕まっていないけれども、その時は別に何も感じませんでした。本気のやつは黙って襲撃してくるだろうから放っておけばいいと思っていた。けれども宮台さんが刃物で襲われて重傷を負ったことで、気分的にかなり変わりました。宮台さんは本当に危なかった。運よく死なずに済んだけれども、死んでいても全然おかしくないような深刻な攻撃だったわけです。事件後に宮台さんは「殺害予告みたいなものは今までたくさんきていた。本当にやるんだったら黙って来るだろうと思っていた。ただ感覚が麻痺していて、警戒心がなくなっていた。そのことを後悔している」というふうに語っていました。私には、この宮台さんの言葉が非常に印象的でした。

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常人にはわからない論理