日本維新の会の国会議員はこう話す。
「吉村知事は、万博は国がやるもの、と言いながらも、大阪で独自にやって成功させたいと仲間うちには語っていました。要するに、国にはあまり頼らず、維新の手柄にしてカジノに突っ走りたいということ。統一地方選では自民とガチンコで戦って勝ちまくった直後の5月に万博の遅れを把握したようですが、吉村知事から岸田首相にSOSを出すのは、なかなか難しかったようです」
日本維新の会の馬場伸幸代表は、8月30日の党の集まりで万博の遅れに触れ、
「万博というのは国の行事、国のイベントなので大阪の責任とかそういうことではなしに」
などと責任を国に押し付けるような「逃げ腰」発言をして周囲を驚かせた。
一本取った岸田首相
岸田派の国会議員は、
「選挙では維新にやられっぱなしだった自民党だけど、一転、維新が頭を下げてきたということ。岸田首相は『やっぱり自民党だ』と一本取った形ですよ。党内でも『最初から国に相談していれば岸田首相が乗り出す必要もなかった。維新ではダメ』という声が聞かれます。岸田政権、自民党の支持率が低迷するなか、解散・総選挙を考えると岸田首相もうまくやったなと思います」
官邸という場所で会合を開き、徹底した“ダメ出し”と、政府の強い介入策を示したことで、万博における立場の違いを鮮明にした岸田首相。とはいえ、「政府主導」になったからといって開幕までに間に合うとは限らない。
(AERA dot.編集部・今西憲之)