一方、博覧会協会の副会長も務める吉村知事は、いつもの威勢の良さが影を潜め、

「建設の遅れ、協会と一緒になりまして、地元の団体、中小の建設業者に働きかけてをしてまいりたい」

 と言う程度にとどまった。

心なしか気まずそうに発言しているように見える大阪府の吉村洋文知事(手前)と厳しい表情に見える岸田文雄首相(左端)

 吉村知事はこれまで、

「万博の成功は僕の公約の柱の一つ」

 と公言してきた。4月の大阪府知事選、市長選のダブル選でも、

「最後まで責任をもって素晴らしいものにする。横山さんと力を合わせて、大阪を前に進めていく」

 と演説していたのだが……。

パビリオン建設に「タイプX」導入も効果は……

 万博会場となる大阪湾の人工島、夢洲。目立つ構築物は、万博のシンボルでリングと呼ばれる大屋根のごく一部の輪郭が組み上げられ、高架道路の橋脚が形になってきた程度だ。広い埋め立て地をダンプが砂煙をあげて走る光景は、約1カ月前に来た時とそれほど大きく変わらない。

夢洲の万博会場予定地で工事が進む、数少ない構築物
まだまだ広大な土地が広がる夢洲の万博会場予定地
高架道路の橋脚部分

 万博には150を超える国・地域が参加を表明しており、自前で独自のパビリオンを建てる「タイプA」は56あるが、建設手続きが始まったのは4カ国だけ。プレハブなどで軀体(くたい)を作って提供し、内装や外装は参加国で手掛ける想定外の「タイプX」の導入も表明したが、申請した国はまだないという。

 4月の統一地方選や衆参補選で自民党を凌駕(りょうが)するように議席を伸ばした維新にとって、万博を成功させてカジノを含む統合型リゾート(IR)を実現することは看板政策であり最重要課題だ。維新が万博を主導した、という成果を出さなければならないはず。

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