思えば14年前、突如テレビに女装した巨大な男が現れた時も、似たような困惑が世間には起こっていたはずです。たった一夜にして、「ミッツ・マングローブ」が健全な時間帯のテレビ住人になったのも、そう言えば暑い暑い夏の出来事でした。私も、マツコ・デラックスも、ナジャ・グランディーバも、「大物外タレ」のような名前にしたくて付けた芸名です。
そんな連中が、本物の電波に乗り、メディアの活字に載るようになったのですから、当時の中高年の方たちは、さぞかし戸惑われたに違いなく。それでもこんなふざけた名前を、そして風体を、世間の方たちはよくぞ面白がり憶えてくれたものです。
名前と言えば、忘れてはならない人がもうひとりいます。ナオト・インティライミさんです。当時、トンチンカンな芸名で社会に認知されてしまった私にとって、誰よりも心強かった御方。
「ナオト・インティライミ」と「ミッツ・マングローブ」。音数も中黒の位置も一緒。今でもたまにふたつの名前が並んでいるのを見ると、戦後日本の自由社会を実感させられます。