作家・画家の大宮エリーさんの連載「東大ふたり同窓会」。東大卒を隠して生きてきたという大宮さんが、同窓生と語り合い、東大ってなんぼのもんかと考えます。16人目のゲストはピアニストの角野隼斗さんです。
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大宮:(YouTube名は)「かてぃん」さんだけど、スミノさん?
角野:かてぃんなんで、カクノと間違えられることが多いですが(笑)。関係はないです。
大宮:なるほど。
角野:山崎直子さん、この連載に出ていましたよね。
大宮:はい。私、星の本を書いたことがあって、宇宙飛行士のかたに会う機会が多かったんですが、山崎さんはお会いしたことなくて。すごく面白くて、素敵な方でした。
角野:親戚なんですよ。
大宮:え? しっ、親戚? そんなことありますか?
角野:旧姓は角野直子さん。父のいとこですね。
大宮:えーっ。そうなんだ。じゃあ、いつも正月に会う、みたいな?
角野:いや、数回ぐらいしかお会いしたことないですね。
大宮:あ、でも、親戚が宇宙行ってんなーとは思ってたんですか。
角野:思ってました(笑)。いや、子どものころだから、あんまりよく分かんなかったですけど、僕も宇宙好きだったから、「おー、すげー」って。
大宮:そうなんですね。角野さんはピアニストだけど音大じゃなくて東大出身なんですよね。
角野:東大です(笑)。
大宮:それでショパン国際コンクールに出て、しかもセミファイナリストまで残られて。準優勝ってこと?
角野:準優勝ではないですね。入賞の一歩手前ぐらいです。
大宮:でも、世界中から応募者がいて、決勝の手前まで進むなんてすごい。ショパンコンクールに出るのは夢だったんですか。
角野:夢のまた上。現実感のないものでしたね。出られるだけで名誉なことだし、そんな場が自分と関係してるとは思ってもなかったです。
大宮:タイミング的に出るのは今だと思ったんですか。
角野:あれ、5年に1回なんです。コロナで1年延びて、2021年の開催になりましたが、応募したのは19年。そのころはただの学生なわけです。
大宮:ほう。
角野:でも、コンクールまでの2年間に、YouTube(の再生数)も伸びて、コンサートもたくさんやらせてもらえるようになって、テレビとかもたまに出て。その上でショパンコンクールに出るっていうのは、必要以上に注目されるわけですね。ありがたいとは脳で分かってるんだけど、注目されるのが嫌すぎて、プレッシャーすぎて、スマホを一回も見ないようにしようと思ったり……。大変でしたね、あのときは。