やはり改めて、「セックスは買える」と信じて疑わない男たちを「社会問題」にしていかなければならないのではないかと思う。若い女性から選択肢を奪い、経済的な貧困を福祉で解決することもせず、「金が必要なら売ったらいいよ」と微笑む性産業への太い道を守ってきた社会を問題にしたいと思う。
「立ちんぼ女子」とは、言う側が「気軽」なだけの言葉だろう。「立ちんぼ女子」と名付けることで、まるで彼女たちが気軽に選択したかのような空気をまとわせることで気が楽になるのは、買春者だけだろう。
私は今、東京と山梨に会社をもっているのだけれど、都道府県によって性産業のあり方が違うことに驚いている。県庁所在地の甲府市には、甲府駅前からそう遠くないエリアに風俗街がある。地元の人に聞けば、いまだに男性中心の商談の場では、商談として性産業を利用することが珍しくないという。また隣県の長野には店舗型の風俗がないため、繁忙期を終えた頃、長野の農家の男性たちが大挙して山梨のソープランドに訪れるのだとも話してくれた。なかには、10代の頃から同級生と大挙して山梨に遊びに来ていたという男性の話もあった(彼は今20代半ば。つい最近のことだ)。
そんな性売買の都道府県ごとの違いなどに触れることもあり、最近、「風俗営業法」=風営法の歴史について調べている。売春防止法があっても風営法があるために、日本には他の国にはないような業態の性産業が多種多様にある。風営法によれば、女性の接待が伴う飲み屋(キャバクラなど)を経営するには営業許可が必要だけれど、男性を射精させる風俗店を開業するには、各都道府県の警察に「届け出」をすればよいことになっている。都道府県によって届け出ができる場所などが規制されていることもあるが、基本的には誰もが簡単に経営できる業種のようだ。