帰宅困難者5千人が3日間滞在できる食料や飲料水、休息用マットなどが備えられている=東京都港区、六本木ヒルズ(撮影/写真映像部・上田泰世)
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 大地震はいつ起こるかわからない。もし夏場ならどうだろう。大規模停電でエアコンが使えないことも想定されるが、真夏でも耐えられるビルがある。業界で「最強の防災レベル」と言われる森ビルの建物を紹介する。AERA 2023年8月28日号より。

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 関東大震災の東京の夏、気温が35度を超えた日は1日しかなかったが、今年は7月から8月前半までで19日もあった。気候変動にヒートアイランド効果も加わり、冷房なしで大都市の環境を生き延びるのは厳しくなっている。

 避難所に行っても酷暑は避けられそうにない。停電時でも稼働するエアコンを備えているところはどれだけあるか、都は把握していないという。足立区の小中学校がLPガスを使ってエアコンを動かせるようにしているが、そんな例はごく一部のようだ。

「停電等で空調が使えない場合、体調不良者が増加し、体力のない高齢者や乳幼児等は、最悪の場合、死亡する可能性がある」と都は予想する。

 2019年の房総半島台風では、大規模停電でエアコンが使えず熱中症で亡くなった4人が災害関連死と認定されている。

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