翌日、またRIKACO(会いに行けるほう)に会ってエレベーターの一部始終を話す。

R「ハハハハ! たーいへーんじゃーんっ!! グアムに家族旅行に来て全員でエレベーターに閉じ込められるなんてぜったいないっしょーーーっ!! 99%ないって!(笑)」

私「……そうですかね?」

R「ありえないって! そのあとホテルの人が謝りに来たりで大変だったっしょ!?」

私「あー、その後、内線がかかってきて謝られました」

R「ないせん?」

私「はい、部屋の電話に」

R「……へー、電話なんだ? なんかサービスしてくれたとか、宿泊費安くしてくれたとかは?」

私「今のところ、なにも言われてませんけど」

R「ありえない、ありえない!」

私「そうですか?」

R「そんなことあったら、絶対にホテル側からなにかしらお詫びのカタチがあるから!」

私「そうですか。ま、無事だったから別にいいんですけどねー」

R「なにかあるわよ! なにか! なにもないなんて、ありえない!」

私「ははは、期待せずに待ちますか。あと1泊あるし」

R「そうねー、じゃまたねー!」

 翌日、チェックアウトして、空港に着いて、お土産買って、無事帰国。

 あー、RIKACOさん(本物じゃないほう)。もうあれから1週間経ちますが、結局先方からはなにもありませんでした。なにもなかったけど初めてのグアムで、RIKACOさん(似てるだけ)曰く「ありえない」ことが3回も続くなんて、本当ありえないですね。まぁいいネタが出来たと思っていろんなとこで話していたら、ある人が「エレベーター……降りる時に急作動しなくて、本当よかったですね! それで天井とエレベーターの間に挟まれて身体がちょん切れちゃう事故、あったじゃないですか!?」。

 それ聞いた時に、背中に冷たい汗がツーっと流れました。それはありえない。とりあえず無事でよかったです。またお会いしましょう、RIKACOさん(グアムの)。あと、イルカもね。

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめたエッセー集の第1弾『いちのすけのまくら』(朝日文庫、850円)が絶賛発売中。ぜひ!

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