河合辰信社長
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 チョコの売り上げは夏場に落ち込むと言われる。今年はカカオ豆や砂糖などの原料価格が軒並み上がり、例年に増して厳しい季節を迎えている。調査会社の調べで2022年度に国内のチョコ市場で売り上げ個数トップだった人気菓子「ブラックサンダー」の製造・販売元、有楽製菓(東京都小平市)の河合辰信社長に値上がりへの対応や価格戦略などを聞いた。

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―― 原料価格が上がっています。

 とくにカカオ豆の国際取引価格は、この1年で相当上がりました。この間の円安の進行も拍車をかけています。2014年の価格上昇時にブラックサンダーのサイズを2ミリ短くしたこともありましたが、当時をはるかに上回る厳しい状況です。

 当社は商品の原料となるチョコを原料メーカーから仕入れて加工しています。そのため国際価格の影響をダイレクトに受けるわけではありません。とはいえ、少し時間差を置いて響いてくるわけです。

―― 「ブラックサンダー」は3月に従来の30円から35円に値上げしました(税抜き)。原料価格の値上がり分などは吸収できていますか。

 完全に吸収しきれるものではありません。というのも、値上げの時期や値上げ幅といった方針を決めたのは、実は昨年秋だったためです。当然、それ以降の状況の変化は織り込まれていません。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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