AERA 2023年3月27日号より
AERA 2023年3月27日号より

■シッター代も回収可能

 実際のところ「管理職になりたくない、なれない」と考える理由は、どこにあるのか。前出の三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる女性管理職の育成・登用に関する調査(20年発表)によれば、「ストレスが増えるため」(50%)が最も多く、次いで「責任が増えるため」(43.2%)が挙げられる。また男性と比べて女性の方が、「家庭(プライベート)との両立が難しいため」「忙しくなる(業務量が増える)ため」を挙げる割合が多い傾向にある。

「年収ベースで言えば、課長職である程度上がる企業が多い一方、子育て期と同時期になりやすい係長や主任クラスでは、そこまで大きくは上がらない。その割に、仕事量が増え、時間的な拘束も生まれる。こうしたことから、給料と責任のバランスが伴わないと感じる人も少なくないのでしょう」(同)

 給料という視点で言えば、「実際に管理職になれば、どの程度収入が上がるのかが分からない」という一般社員の声も多く聞かれる。とかくお金の話はタブー視されがちな日本では、同じ組織内であっても「誰がいくらもらっているか」は・聞いてはいけない暗黙のルール・というところが多いだろう。男女間の雇用問題に詳しい周燕飛教授(日本女子大学)は言う。

「管理職のデメリットばかりが目につきがちなのは、“頑張れば報われる”という風土がないのも大きい。アメリカや中国では、役職が上がれば具体的に年収がどれぐらい上がるなど、動機となる条件をもっと分かりやすく提示します。日本のように“実際になってみないと分からない”という状態では、管理職になりたいと思う動機が不十分なままではないでしょうか」

 一方、「長い目で見れば、管理職になった方が“コスパが良い”」と判断し、現在子育てと両立しながら課長職をこなしているのが都内に住む女性(37)だ。5歳と2歳の幼い子どもを育てながらの平日は、「息をつく隙もない戦争状態」と笑う。夫婦共働きで、互いの親は遠方暮らし。いざという時に頼れる身内がそばにいない。そこで活用するのがベビーシッターや家事サポートなどのアウトソーシングだ。最初の頃は「家事も子育ても仕事も、全部自分でやらないと」と抱え込んでいたが、ある時、幼い子どもに対しても、常に余裕がない自分にはっとした。

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