――東京五輪は、逮捕者まで出てしまいました

「驚きもしません。お金もうけのためにイベントをやっているのですから。耳が痛いかもしれませんが、五輪も万博もマスコミがイベントの盛り上げ役に回ってしまっている。見積もりの根拠を独自に検証したりせず、発表をそのまま記事にしてしまっている。そして忘れたころに金額が上がって、やっと報じたときにはもう手遅れ。大イベントの盛り上げ役に回ってしまっているメディアの現状は、大きな問題だと思います。誰に向いて仕事をしてるねんって」

――とはいえ、経済効果を期待する声はあります

「1964年の東京五輪に合わせて東海道新幹線が開通したように、高度成長期は大イベントと公共工事がいい意味でリンクしていたのだと思います。国や地元経済を何とかしようと、大イベントをやってお金の動きを作ろうとするのは政治家が考えがちなことで、悪意があっての発想ではありません。ですが、給料が長く上がらず、増税や物価高などで使えるお金が減って国民が疲弊している今、五輪や万博が国民を元気にし、国民にとっての経済成長につながるかというと、私は強く疑問に思いますね」

お金を使うことが目的化

――泉さんはカジノにも反対されていますね

「五輪も万博もカジノも全部発想は同じ。お金を使って施設作って、工事やって雇用を生んで……という。発想が古いし、短絡的です」

現在の万博予定地

――五輪も万博も開催する必要自体がなかったと

「やる必要はありません。五輪にしても、スポーツが感動を生むことは事実ですが、あれほどの大金を投じてまでやる意味があるのかということ。生活が大変な国民がたくさんいるなかで、税金の使い道はほかにあるでしょう。例えるなら、家で子どもが腹をすかして泣いているのに、親は庭をあれこれ整備してきれいにして、そこに人を集めて派手にパーティーをやっているという状況。そんな金があるなら子どもに飯を食わしたれよって思いませんか」

――大阪万博は成功するのか

「そもそも主催者側は成功する必要を感じていないのでは? 入場料が7500円なんて高すぎて行こうと思う人はそうそういないんじゃないかと思いますが、仮に入場者数が少なく終わったとしても『質の高い万博でした』なんて総括して、成功を“作る”ことができますからね。成功か否かではなく、大きなお金を使うことが目的化しているのだと思います」

――ツイートした意図は

「政治とマスコミに対する怒りですよ。大イベントで潤う時代じゃないのに、いまだに方針を転換できない。税金は国民のためにこそ使うべき。大イベントに大きな税金を投じたつけは、最終的に国民に回ってくるのです」

(聞き手/AERA dot.編集部・國府田英之)

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