泉房穂氏

 2025年の大阪・関西万博の費用が当初の見積もりより大幅に膨れ上がっていることについて、批判の声が強まっている。元明石市長の泉房穂氏(59)もその一人で、費用膨張に疑問を呈したツイートが話題になった。国民からすれば税金が余計に使われるのだからたまったものではないが、万博や東京五輪などの大イベントは、なぜ決まりごとのように見積もりが大きく外れるのか。泉氏に見解を聞いた(後編では、自民党女性局の子育て支援などについて学んだというフランス研修について)。

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 大阪万博の会場建設費は国、大阪府・市、民間で3等分する。当初は1250億円を見積もっていたが、その後1850億円に修正。ここにきて、再度上振れする可能性が取りざたされている。費用が膨張すれば、それだけ多くの税金が投入されることになる。

 日本政府が出展するパビリオン「日本館」についても、当初の入札予定価格より9億円高い76億円で清水建設が随意契約した。これについて泉氏は、

「そんなに気前よく税金を使って、大丈夫なのかと不安になる。その負担がまた国民に回ってこないことを切に願う」

 とツイートしていた。

数字の見せ方なんてどうだってできる

――東京五輪も大阪万博も、費用が膨張するのはなぜなのか

「建築資材の高騰などの要因があることは確かでしょう。ただ、それ以前に行政が出す金額なんて信用してはあかんですよ」

――信用してはいけないとは

「見積もりの数字の見せ方なんてどうだってできますから。箱もので言えば、イニシャルコスト(建設費などの初期費用)だけを見せるのか、ランニングコスト(維持管理費)も含めた数字を出すのかで、大きく変わります。国民・市民からの理解を得ないといけませんからね。批判が予想されるときには小さい数字を見せて、逆に政府や自治体が、頑張ってますよ、お金をたくさん使ってますよ、とアピールしたいときには数字を大きくする。そういうものだと思います」

――東京五輪や大阪万博は、数字をあえて小さくしたと

「これだけ大きなイベントならもっとシビアに見積もりを出して示せるはず。そのうえで、イベントをやる社会的意義や国民にとっての経済効果、税金を使う理由をしっかり説明すべきですが、していませんよね。批判が大きくならないよう、極端に安く見せたい、という動機に基づいた数字を出しただけでしょう」

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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大阪万博で国民が元気にならない理由