人との会話も最低限で、ギャグも飛ばせなくなるし、文字も入ってこない。将来の不安とかそういうのもなくなって、頭の中いっぱいに「おなかすいた」しか出てきません。
胃がずっと「何もないぞ。緊急事態だ」って騒いでるんだけど、それも過ぎて3日目ぐらいになると、胃も沈黙を始めます。「ないか。じゃあ仕方あるまい」って。そして本当の静寂が訪れます。断食が終わった後も、初めはすぐに寿司とかたらふく食べてやろうと思っていたけど、食への執着がなくなって、静かに日常に戻っていきました。この非日常の体験が僕の中ではすごく良かったんです。
機会があったらまたやりたいなと思っているんですが、これってどういうことかというと、強制的に「空白を作る」ことだと思うんです。
不安で、ああしなきゃこうしなきゃと考えている時は、実は体力が余っている状態っていうのかな。手っ取り早く空白を作るには、ファスティングはおすすめです。
福岡まで行って断食するっていうのも、意味があった気がします。だっておいしいものしかない都市だから、福岡は。わざわざそこまで行って、断つ、っていうのが、すごく誇らしい気持ちで帰ってきました。
かに座は第六感的なものが強い人たち。宗教的なものに触れてそれを自分の生きる糧にしていくことができる人たちです。断食じゃなくても、何か昔からある修行体験みたいなものにトライしてみるのもおすすめです。
◎しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「VOGUE GIRL」での連載「WEEKLY! しいたけ占い」でも人気
※AERA 2023年8月14-21日合併号